諸星大二郎「スノウホワイト グリムのような物語」

この作品集は堪らなく可笑しいので好きです。『奇妙なおよばれ』や『漁師とおかみさんの話』の主人公の不安そうな顔を見ていると吹き出しそうです。そして一押しは『コルベス様』です。楳図作品を思い出しそうな鶏人、馬車を引いている不気味な大ネズミ、セクシーな猫女、空中を浮遊する石臼、メカっぽい卵、ハイテク鴨男、邪悪そうな留め針と縫い針など突っ込みどころ満載のキャラクターばかりで愉しいです。コルベス邸を襲撃するシーンも可笑しいですが最高なのは帰宅したコルベス様を襲うシーンです。なんと外から見たコルベス邸とコルベス様を惨殺している擬音のみが連続して描かれています。「この”ズーン”は石臼だな」と想像するだけで愉しいです。人は他人の家で行われる不条理で理不尽な暴力に対し擬音で想像できる程度の意味しか理解できないのです。

スノウホワイト グリムのような物語
東京創元社
2006年11月30日初版発行



<収録作品>
スノウホワイト グリムのような物語

  • 七匹の子やぎ
  • 奇妙なおよばれ
  • 漁師とおかみさんの話
  • スノウホワイト
  • 小ねずみと小鳥と焼きソーセージ
  • ラプンツェル(『トゥルーデおばさん』に収録の同名の作品とは別作品)
  • コルベス様
  • めんどりはなぜ死んだか
  • カラバ侯爵
  • 藁と炭とそら豆
  • とりかえっ子の話
  • 金の鍵

werdna について

初めましてwerdna(ワードナ)です。漫画作品や漫画本との出会いや思い出、読んで感じた事など書いております。2000~2009年まで「漫画の館」「丸尾マニア」などのサイトを公開していましたが、2010年に閉鎖しました。以前サイトに掲載していた漫画の感想などもブログに更新しようと思います。作品の紹介や論評になっていないものばかりで、作品を知らない方には意味不明な文章になっていると思いますが読んで頂けたら幸いです。
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