この作品は間違いなく20世紀最後の問題作である。『宮本から君へ』や本作品の主人公達など新井英樹氏が描くキャラクター達は決して共感できる人物ではない。共感を強要しない作者は現実を直視し表現していく。その現実とはある意味で現実として表現する事を禁じられた現実でもある。真実ではない事実、それが現実である。登場人物のセリフの一つ一つに避けることの出来ない現実がある。おきまりの理想やたてまえを抜きにした、本当の現実がある。この漫画は誰にでも薦められる作品ではありません。だから、真剣に読んでもらえる読者だけに薦めたい。(2000年5月14日「漫画の館」より)
小学館 ヤングサンデーコミックス
1巻1997年7月5日初版発行 全14巻
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